DECADE TALKVOL.3: Hiroya Morizakiインタビュー
DECADE TALKVOL.3: Hiroya Morizaki
2001年KOG全日本シリーズチャンピオンと日本人初となる世界選手権優勝を果たした世界的BMXライダーのHiroya Morizaki(森崎弘也氏)に自身が開発した「A-CLASS TIRE」について伺った。
DECADE:まず始めに、A-CLASS TIREを開発された経緯はなんだったんでしょうか?
Morizaki:開発した経緯は?って聞かれると、当時(2004年)、自分が納得の行くタイヤが無かったから、FFC(現スポンサー)に「タイヤを作らせて貰えないか?」ってお願いしたところ、開発しようってなったところが始まりだね。
DECADE:その時には、作りたいタイヤのイメージって既に有ったんですか?
Morizaki:既に有ったね。とにかく履いて直ぐに乗れるタイヤを作りたかった。
もう少し具体的にいうと路面への食いつきが良く、かつ走るタイヤが欲しかった。丁度、俺がタイヤを作りたいと考えていた時、フラットランドの世界はトリックの大きな転換期を迎えていた時代で、それまでのスカッフトリック(※1)を主体としたライディングスタイルから、切り返しやタービン、パドルといったスカッフを必要としないトリックが主体になりつつあったんだよね。
俺もいち早くノースカッフトリックを取り入れていたライダーの1人だったんだけど、時代はまだスカッフトリックが主体とするライダーが多かったから、当時販売されていたフラットランド向きのタイヤは全てスカッフをする事におもきをおいた形状で、ノースカッフトリックには向いていなかった。
DECADE:なるほど、つまりA-CLASS TIREは、現在主流にあるノースカッフのライディングスタイルに適したタイヤなんですね?
Morizaki:そうだね。ただ、スカッフトリックが出来ない訳では無く、スカッフとノースカッフのトリックに必要な要素をギリギリのバランスで取り入れて具現化したのが、このA-CLASS TIREなんだ。
スカッフだけに重点を置いたタイヤだと、タイヤのローレット(※2)が深く、タイヤのパターンがPRIMOのウォールや、EIGTY - EIGHTのFOUR TIREのようにブロック形状になるのが特徴で、こうした形状はシューズのソールや地面の食いつきが良いんだけど、表面のブロックが分厚くて空気圧を入れても走らないんだよね。かといって、ローレットが浅すぎると食いつきが悪くなって滑ってしまう。
そこで思いついたのが今のA-CLASSのパターンなんだよね。ノースカッフトリックに求められるタイヤの走りを実現させる為にローレットの深さは浅めなんだけど、横のラインで構成したパターンによって、スカッフを入れても滑らない様にしたんだ。
DECADE:スカッフもしやすく走るタイヤと聞くと、かなり完璧なタイヤですね。
Morizaki:そうだね。今出ているフラット向きのタイヤの中では、世界最高の物だと自信が有るよ。
後、このタイヤの最高の魅力は、履いて直ぐに乗れるところ。このタイヤを作ってから凄くコンテストへ向けてのコンディションの微調整が可能になったんだ。さっき話した昔のタイヤは、ベストなコンディションになるまでに少なくとも1ヶ月くらいは練習しないとイケなかった。
A-CLASS TIRE を作りだした頃、まだX-GAMES(※3)でフラットランドが廃止されていなかったから、国内外問わず、かなり多くのコンテストに出場したね。だからコンテストに参加する日程から、しっかり逆算してタイヤを変えて練習しないと、タイヤのベストコンディションを大会に持って来れなかった。更に遠征続きだとタイヤがバーストする可能性も常についてくる。軽いパンクならまだしも、バーストしてタイヤが裂けたなんて事になったら最悪だったね。新品のタイヤだと乗れたもんじゃ無いから、コンテストに大きな支障が出る。そんなフラストレーションを持っていたから、変えて直ぐに乗れるタイヤが欲しかったんだ。
そこで、参考になったのがF1のタイヤ。F1のタイヤって履いたその時が一番調子が良いという事実を知って、その要素を調べてA-CLASS TIREにも反映させた。現在のA-CLASSはそれくらいハイレベルなタイヤなんだよ。
おかげで、今ではコンテスト当日にタイヤを履き替えても全然乗れるよ!
DECADE:滑らず、走って、すぐ乗れる。死角の無い最高のタイヤなんですね。
Morizaki:本当に良いタイヤだという自信は有るね。それは、自信過剰な訳では無く多くのライダー達から良い意見をたくさん聞くからね。だって、あのフラットランドの神様「チェイス・ゴーイン」から、「お前のタイヤは最高だ!俺に使わせてくれないか?」って連絡が有ったくらいだよ。
チェイスは、他ブランドから自身のシグネチャーモデルのタイヤをリリースしてるんだけど、それでも俺が作ったタイヤを支持してくれるなんて、ライダーとして最高の出来事だよね。
DECADE:時代にニーズに合わせた弘也くんのアイディアが詰め込まれている最高のタイヤだという事が伝わりました。
これからも多くのライダーに愛用されるタイヤであって欲しいですね。
※1 スカッフトリック:足の裏でタイヤを擦りながらバランスを保つ、フラットランドを代表する技の1つ
※2 ローレット:タイヤに刻まれているパターンの事
※3 X-GAMES:一年に一度アメリカで開催されるX-SPORTSのオリンピック
ARESTIC A-CLASS soft
¥3,381 新開発のコンパウンドによりグリップ力が数段に増しました。コンテストなどで滑る路面に遭遇する事はよくあります。でもこのタイヤを装着しておけばホコリや砂だらけなど余程の事が無い限りいつもどうりの攻めたライディングが可能です。 詳しくはこちら
Official Website:http://hiroyamorizaki.com/